暗めの詩





刻の迷い子

貴女は誰ですか……
顔を見ることが出来ない……
貴女はどうしてここにいる……?
声を聞くことが出来ない……
私は貴女を知っているような気がする。
貴女はきっと刻の迷い子……………

さあ、手を伸ばして。捕まえてあげる。
永遠の闇の中に……
もう迷わないで。どうしてか私の心が乱れる。
私のもとに留まる気はないの……?
まるで貴女は……夕暮れのように、
美しさを焼き付けて私のもとから去るのですか……
痛みという余韻だけを残して……




貴女にいただいた白い花は……
私の闇の中で清く悲しげに揺れています。
この花が混沌に染まらないように……
私はそっと守っていきたい。

季節はずれのひまわりは
彼のもとで無邪気に微笑んでいるでしょう。
日の光のない場所で、あの花は何を追うのでしょうか…


「行き急ぐよりも」

時を追いかけ
時に追われるのは
生きている者達だけで充分だ
永遠と死は、似ている

深と凍えそうな空気が
鋭く、凛としていて、
腐りかけた身体を冷やしていく。
その冷たさに乗って
思いが届くなら
もうお前のことなど忘れたと、
お前に届けばいいのに。


「巡る」

深まる秋は涙誘えど
流す涙はもう
誰が為でもあらず。
無意味な塩水はいつしか
遠く光を忘れてゆく。

血によって途切れたと思った。
甘く憂いのらせんは、
ゆっくりとささやかに
けれども容赦なく
何かを奪ってゆく……

お前は時の迷い子……
決して捕まえることはできない。
愛に刻まれた歴史は少しずつ
哀を零しながら螺旋をのぼる
留まることを知らぬ……

けれどももう、この唇が乾いて
血の味がしないことだけが
唯一の救い。
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